大規模災害に備える!

さいたま市浦和区の高砂小学校で「避難所運営訓練」が実施されました。

令和6年10月26日土曜日、地元(さいたま市浦和区)の高砂小学校で「避難所運営訓練」が実施されました。

ほとんどの小学校は大規模災害が発生した場合に「避難所」となります。高砂小学校も例外ではありませんが、他の小学校とはちょっと事情が異なります。

高砂小学校はJR浦和駅から徒歩数分の場所に立地しています。そしてJR浦和駅の1日平均の乗降客数は約16.8万人、JR東日本エリア40位となっています(さいたま市内で最も多いのは大宮駅の約45.2万人でJR東日本エリア7位)。仮に平日に大規模災害が発生し、公共交通機関が動かなくなった場合、高砂小学校には多くの避難者(帰宅困難者)が集まることが想定されています。

そんな高砂小学校で、地元の自治会(調自治協力会や高砂一丁目町会等)が中心となって、「防災倉庫確認訓練」と「資材取扱訓練」が行われました。

最も重要なモノが足りない!

防災倉庫内の備蓄品を確認すると、飲み水、保存食、懐中電灯、ラジオ、救急箱、簡易トイレ、衛生用品等がありました。ですが現代において最も重要なモノが不足しています。

それは「電源」です。

避難所が開設された場合に課題となるのが「電源の確保」です。今年の元旦に発生した「令和6年能登半島地震」でも、多くの避難者が行列をしながら、タコ足配線で携帯電話の充電を行っている様子をニュースなどで見たことがあると思います。

今回、懐中電灯やラジオ用の「乾電池」が備蓄されているのは確認できました(ですが少量です)。また「電源リール(延長コードの長いモノ)」も備蓄されていました。ところが停電になった場合に必要となる「電源(ポータブルバッテリー、モバイルバッテリー等)」が備蓄されていませんでした。

訓練の前に、「電源確保が課題になる」ことを高砂小学校の先生方や浦和区役所の職員にお伝えしたところ、「それは盲点だった」というご意見をお聞きすることができました。また、さいたま市として、或いは各小学校として、ポータブルバッテリーなどを確保する(購入する)ことは、予算の関係上非常に難しいというお話を聞きました。

実はあまり知られていませんが、さいたま市では避難所に指定されている全市立学校164校(浦和区では16校)に、平成28年3月までの間に「太陽光発電設備および蓄電池」が導入されています。仮に停電になっても、蓄電池に電源が充電されているので電源の確保が可能となっています。そして太陽光発電設備に問題がなければ、晴天時に発電を行うことができ、蓄電池に電源が充電される仕組みが構築されているのです。

図 太陽光・蓄電池システムの概要
(出典)さいたま市環境局/環境共生部/脱炭素社会推進課HP

このシステムでは、防災用自立コンセントの設置場所として職員室と体育館が設定されています。また、自立運転用負荷のための電源容量は3kVA以上、コンセント用として1.5kVA以上の電源を2回線供給する仕様となっています。素晴らしいシステムです。

浦和中ロータリークラブからポータブルバッテリーを寄贈

それでも幾つかの課題があります。

体育館のコンセント数が少なく、そこから電源を確保しようとすると「行列しながらタコ足配線で充電を行う」こととなります。これが第一の課題です。

もう一つ課題があります。それは地域住民とそれ以外の避難者を分けることができないと言う事です。

この二つの課題を解決するため、私は所属している浦和中ロータリークラブ(RC)に「高砂小学校に対して、クラブ創設35周年記念事業として、ポータブルバッテリーを複数台贈呈するのはどうでしょうか? 災害対策にもなりますし、平時においても学校の行事や周辺自治会のイベントで活用してもらうことができると思います」という提案をさせて頂き、そして浦和中RCから高砂小学校に対してポータブルバッテリー3台を贈呈することとなりました。

(写真)左から浦和中RC会長、高砂小学校校長、浦和中RC幹事

高砂小学校からは「これまで校庭等で電源を確保しようとすると、電源リールを使うために、ちょっと使い勝手が悪かった。これなら非常に使い勝手が良い。早速使わせて頂きたい」と感謝の言葉と感謝状を頂きました。また訓練に参加されていた自治会長からも非常に喜ばれました。

浦和中ロータリークラブから高砂小学校に対して、「是非自治会や商店街等も利用できるようにしていただければと思います。平常時から近隣の方がポータブルバッテリーを使っていれば、充電状況の確認になりますし、仮に先生方が異動しても地域の方がポータブルバッテリーのことを覚えていますから。」とお伝えしたところ、二つ返事でご快諾いただき、高砂小学校で貸出方法について検討するというご回答を頂きました。

我々が地域に提供したポータブルバッテリーはわずか3台です。ですがこれを機に、会社や家庭でポータブルバッテリーを購入した会員もいます(もちろん私も備えております)。行政や小学校で多くのポータブルバッテリーを備蓄するのは現実的には難しいと思います、が企業や家庭でポータブルバッテリーを購入し、大規模災害発生時には各自がポータブルバッテリーを避難所に持ち寄ることで避難者の支援に繋がると思います。

今後はそんな取組みを行っていきたいと考えています。